レナリスファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役会長CEO:BTスリングスビー、以下「レナリスファーマ」)は、本日、中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下「中外製薬」)による買収契約(以下「本件取引」)を締結しましたのでお知らせいたします。当社はTravere Therapeutics, Inc.(以下「Travere」)が開発し、米国および欧州においてIgA腎症の適応症にて承認されている、sparsentanの日本での開発を進めております。本件取引により、中外製薬はsparsentanの日本、韓国および台湾における独占的開発権・販売権を取得いたします。
レナリスファーマは、腎関連疾患患者さんのアンメットニーズを満たす革新的な治療薬の開発を通じて、日本およびアジアにおけるドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けて事業を推進して参りました。現在、当社はIgA腎症を主要適応症とするsparsentanの開発を進めており、2025年10月にIgA腎症の国内第III相臨床試験において全評価対象症例の主要評価項目データ取得を完了し、2025年第4四半期中にトップラインデータを公表する予定です。また、同月には、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)およびアルポート症候群に対する国内第III相臨床試験の開発計画に関して、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と合意しております。
本件取引により、希少腎疾患に対する革新的な開発品であるsparsentanを、同領域において卓越した実績と専門性を有する中外製薬が引き継ぐことで、日本およびアジア地域の希少腎疾患患者さんへのアクセス向上がさらに加速すると確信しております。
レナリスファーマ、代表取締役会長CEO兼 共同創業者のBTスリングスビーは次のように述べています。
「レナリスファーマは、海外では承認済みにも関わらず日本では未承認の医薬品が存在する、ドラッグ・ラグの解消を目指して設立されました。レナリスファーマでのsparsentanの国内開発と今回の中外製薬とのパートナーシップは、日本およびアジアの患者さんの医薬品アクセスの加速において新しいビジネスモデルの可能性を提供したと考えます。」
レナリスファーマ、最高開発責任者の島崎 竜太郎は次のように述べています。
「腎関連疾患における事業基盤と深い知見をお持ちの中外製薬との連携を通じて、PMDA、臨床医、患者さんの期待に応え、1日でも早くsparsentanをお届けすることに尽力します。IgA腎症、FSGS、アルポート症候群といった開発プログラムの進展を通じ、希少腎疾患に苦しまれている患者さんへのアクセスを加速させます。」
株式売却の対価について
①クロージング対価
当社は、本件取引が実行される日に、クロージング対価15,000百万円に加え、株式譲渡契約に基づく価格調整を反映した金額を現金にて受け取ります。
②アーンアウト対価
当社は、sparsentanの承認の進捗に応じた複数のマイルストンにより、最大16,000百万円のマイルストン対価、およびsparsentanの日本、韓国、台湾における純売上高に連動する対価を現金にて受け取ります。
sparsentanについて
sparsentanはTravereが開発した、経口投与可能なエンドセリン受容体とアンジオテンシンⅡ受容体の双方に対して拮抗作用を有する二重拮抗薬です。当社は2023年にTravereから日本およびアジア地域での独占的開発・商業化に関するライセンスを取得しています。国内ではIgA腎症の第III相臨床試験において全評価対象症例の主要評価項目データ取得を完了し、2025年第4四半期中にトップラインデータを公表する予定です。Travereは2024年にsparsentan(米国商品名:FILSPARI®)について、「病勢進行のリスクがある原発性IgA腎症の成人患者における腎機能低下の抑制」を効能・効果としてFDAから完全承認を得ております。FILSPARI®はIgA腎症患者を対象としたイルべサルタンとの直接比較試験(PROTECT試験)において、蛋白尿の有意な減少、腎機能の維持、忍容性の高い安全性プロファイルを示しました。欧州においても2025年にIgA腎症の適応症にてEU標準承認を取得しています。また、2025年にFILSPARI®は、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」を効能・効果としてFDAに追加新薬承認申請(sNDA)が受理されています。
IgA腎症について
慢性腎臓病および末期腎不全患者さんの管理は、日本の医療制度に大きな負担をもたらしており、社会的課題となっています。IgA腎症は、腎不全の主な原因の1つとして広く知られており、本症を原因として末期腎不全(透析)に移行する患者さんが絶えません。IgA腎症は、異常IgAタンパクが腎臓組織に沈着することで、腎臓の機能を阻害し、炎症を引き起こすことにより発症すると考えられています。しかし、未だに発症や重症化の機序については未解明な点が多い希少難病(指定難病66)です。現状、日本においては、IgA腎症に対する明確な治療法が乏しく、アンメットニーズが存在しています。
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)について
FSGSは、腎不全の重要な原因のひとつとして知られ、本症を原因として末期腎不全(透析)へと進行する患者さんが少なくありません。FSGSは、糸球体の一部(巣状)かつ分節的に硬化が生じ、腎臓の濾過機能を障害することで発症すると考えられており、指定難病である一次性ネフローゼ症候群(指定難病222)の一つとされています。FSGSは発症や進展の正確なメカニズムは未解明な部分が多く、ステロイド抵抗性例も存在するため治療に難渋する症例が少なくありません。現状、日本においてはFSGSに対する治療法は限られており、大きなアンメットニーズが存在しています。
アルポート症候群について
アルポート症候群は、小児期から血尿や蛋白尿などの腎症状を呈し、進行性に腎機能が低下する遺伝性腎疾患です。本症は、Ⅳ型コラーゲンをコードする遺伝子の異常によって糸球体基底膜の構造が破綻し、腎機能障害を引き起こします。重症例では男性で10代後半から20代前半に末期腎不全に進行してしまう疾患で、難聴や眼症状を合併することも特徴です。小児慢性腎疾患は成長や発達に大きな影響を及ぼすため、社会的にも重要な課題となっています。アルポート症候群は希少難病(指定難病218)に分類され、本疾患に対する根本的な治療法は確立されておらず、大きなアンメットニーズが存在しています。
レナリスファーマ株式会社について
レナリスファーマは、日本およびアジアの腎関連疾患におけるアンメットニーズに応える革新的な治療薬の開発に取り組む研究開発型の製薬企業です。ベンチャーキャピタルであるキャタリスパシフィックおよびSR Oneにより設立され、昨今増加の一途を辿る「ドラッグ・ロス」の解消を目指し、日本およびアジア地域の腎疾患の患者さんに新たな治療へのアクセスをもたらす橋渡し役として、より良い医療を届けることを目指しています。
中外製薬株式会社について
中外製薬(本社:東京)は、抗体エンジニアリング技術をはじめとする独自の創薬技術基盤を強みとする、研究開発型の製薬企業です。ロシュ・グループの重要なメンバーであるとともに、東京証券取引所プライム市場の上場企業として、自主独立経営の下、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。中外製薬に関するさらに詳しい情報は https://www.chugai-pharm.co.jp/をご覧ください。
会社名:レナリスファーマ株式会社 [英語名:Renalys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都中央区日本橋本町二丁目3番11号
代表者:BTスリングスビー
URL:https://renalys.com/
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
<本件に対するお問い合わせ先>
レナリスファーマ広報事務局(株式会社コスモ・ピーアール内)